よく話題になる事柄のうちに、なんとなく「パニック」という単語が入っていることがあります。
「今朝、電車で元カレに会っちゃってさ、もう心臓バクバク。パニクった」
「対向車が急に右折してきたんでパニックになりそうだった」
では、「パニック」とはどんなものかというと、あまり知られていないのが現実でしょう。「アタマが真っ白に
なった」状態をもっと強くしたものだともいえます。
パニック障害の最初の症状は、突然の動悸や呼吸困難、発汗、めまいなどの身体症状とともに強い不安や恐怖感
を伴うパニック発作と呼ばれるものです。
パニック障害は、何の前触れもなく起こる激しい動悸や発汗、頻脈(脈拍が異常に多い状態)、ふるえ、呼吸困
難、めまいといった身体・神経系の異常と共に、今にも死んでしまうというような強い不安感が生じる病気です。
この発作は、一般的に「パニック発作」と呼ばれ、通常長くても1時間以内にはおさまります。ですが、この症
状を繰り返すとパニック障害ということになります。検査をしてもこれといった異常や病気は通常見つかりませ
ん。(該当する症状がある場合はその治療を行います)
パニック障害の 治療法には、薬物療法と認知行動療法があります。通常は、まず抗不安薬や抗うつ薬を使って
パニック発作が起こらないように治療を行います。
不安が軽くなってきたら、認知行動療法で外出や乗り物に少しずつ挑戦し、慣らしていく訓練を行います。また
、動悸や息切れを心臓発作の前触れではないかなどと破局的に解釈する考え方のクセを変えていきます。
上記のように、パニック発作自体は、多くの場合1時間以内でおさまりますが、何回か繰り返すうちに、「また
発作が起きたらどうしよう」という、パニック発作そのものに対する強い恐怖感や不安感が生まれるようになり
ます。これは、「予期不安」といわれるものです。
予期不安は、逃げ場のないような場所(電車の中など)でのパニック発作や、発作を他人や大勢の人に見られる
ことへの不安や恐怖を派生し、大勢の人が集まる場所や、過去に発作を起こした場所を避ける行動をとるように
なります。これは「広場恐怖(外出恐怖)」といわれます。
パニック障害が悪化すると、人前に出るのを嫌って閉じこもるようになり、正常な社会生活が維持できなくなり、
うつ病を併発することもあります。
当相談室にお越しいただく方の傾向としては、認知機能の一部に弱い場合が多くみられます。発作が出ない状態
のうちにトレーニングできれば、ある程度の改善は見られますが、まったく外出できないのに、無理にお越しい
ただいて(ご家族等が強引にお連れいただく場合等)も対応は困難です。服薬によりある程度症状が緩和されて
からお越しください。
山手心理相談室では、パニックが出にくくなるトレーニングを中心に対応していきます。催眠療法は早い効果が
ありますが、根本的な改善にはつながりません。じっくり対応することが肝要です。