人間は自分の周辺で発生するさまざまなことを「記憶」していきます。たとえば「昨日の夕食に何を食べたか」
という記憶は、優先順位があまり高くありません。というのも、すべての出来事を時系列で記憶してしまうと、
いざ必要な場合にどこに格納したか探し出すことが難しいために、脳が必要度が高いものを優先的に記憶してい
るのです。
認知症など一部の脳機能の損失でも発生する場合がありますが、ここでは、いわゆる「物忘れ」は順位が低い記
憶を忘れるということでお考えください。強いストレスが発生すると上位の記憶にも影響が出ることがあります。
また、優先順位のつけ方がうまくないために、一般的には覚えているはずの記憶が「飛んで」しまっていること
もあります。後者の場合には、スキルトレーニングや認知行動療法によって改善を図りますが、1のようなここ
ろの問題ではなく、脳機能の弱さが中心になって発生するという相違点があります。
改善には長期間の練習が必要になります。
3.吃音症
ずっと以前には、吃音症は心理的なものが主な原因だと言われていました。1.と誤認されていたこともあって、
今でも「催眠で吃音を治します」という催眠療法士もおられるようです。
最近の研究では、吃音症状は心理的なものが原因ではなく、脳の弱さだと考えられるようになりました。脳機能
が一部弱いために、言葉がスムーズに出てこなくなり「たたたたたたた」などと連続で発声してしまいます。吃
音が心理的なものだと捉え、それを改善させようとしても上手くいきません。これは2よりさらに難易度は上が
りますが、同様の方法で今より改善することは可能です。
巷に出ている「吃音改善法」では1ヶ月程度で改善できるという記載もありますが、それほど簡単に改善できる
なら、誰も苦労しないでしょう。
ミュゼでは、まず「言葉のつまり具合」をお伺いしてから、弱い部分を見定めて改善に取り組んでいます。特に
3の場合は発達障害が関係しているために周囲の理解も得られないことがあり、ご本人の苦しみは高いものがあ
ります。